Runx1(英:Runt-related transcription factor 1)はRUNX1遺伝子にコードされる転写因子である。ヒトでは21番染色体長腕上にある(21q22.12)。AML1(acute myeloid leukemia 1 protein)、CBFA2(core-binding factor subunit alpha-2)とも呼ばれる。Runx1は、CBFβとヘテロ二量体を形成し、DNAと結合し転写を調節することで、造血系の分化において重要な役割を担っている。

機能

Runx1は骨髄系・リンパ系に広く発現し、転写因子としてIL-3、GM-CSF、ミエロペルオキシダーゼ、T細胞受容体、CSF-1Rなどの骨髄球・リンパ球の分化に関わる遺伝子のプロモーターを調節している。

構造

Runx1はp53様転写因子(p53-like transcription factors)の1つで、ショウジョウバエで性分化や神経発生に関わっているRuntのホモログであり、DNAに結合する部分はRunt homologyドメイン(RHD)と呼ばれる。ヘテロ二量体を構成するCBFβはDNAに直接作用せず、Runx1と相互作用することで、アロステリックに調節している。RunxのアイソフォームはRunx1のほかにRunx2とRunx3があるが、RHDに関しては90%以上の相同性があり、同じような仕組みでDNAに結合していると考えられている。Runx1が認識するDNA配列は(5') Py-G-Py-G-G-T-Py (3')(Pyにはピリミジン塩基すなわちCまたはTがくる)であるが、X線結晶構造解析により特にその配列の中のG(グアノシン)3つが重要であり、それぞれ3つアルギニン(R)を介してRunx1と相互作用していることがわかっている。

疾患関連

Runx1の異常は白血病に関わっており、t(8:21)の転座によって生じるFAB分類でM2の急性骨髄性白血病(AML)は有名である。この転座によって生じるキメラタンパク質AML1-ETO(AML1-MTG8, Runx1-Runx1T1)は、主としてCBFβと非機能性複合体を形成することで、CBFβが枯渇するために正常型のコア結合因子の機能不全を起こし、造血系が分化障害を起こして白血病に至ると考えられている。ただし、AML1-ETOは、通常コア結合因子(CBF)が転写調節に関わらないp21やBCL-2の活性化に関わっており、これらが白血病化に貢献している可能性がある。

Runx1の標的遺伝子にSNPがあることで疾患につながることもある。例えば、リンパ球の自己寛容に関わる遺伝子のPDCD1(programmed cell death 1)の4番目のイントロンにあるRunx結合部位に変異(TGCGGTC→TGCAGTC)があると自己寛容に破綻を生じSLEを起こすことが知られている。

出典

外部リンク

  • RUNX1 protein, human - MeSH・アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス(英語)

ETV6RUNX1 Dual Fusion/Translocation FISH Probe Kit CytoTest

RUNX1 Antibody (PA512409)

XL RUNX1 Break Apart Probe MetaSystems Probes

IJMS Free FullText RUNX1 A MicroRNA Hub in Normal and Malignant

Myeloid neoplasms with germline ''RUNX1'' mutation CELL Atlas of