酒井 啓子(さかい けいこ、1959年(昭和34年)2月 - )は、日本の国際政治学者。千葉大学法政経学部教授、同大学グローバル関係融合研究センター長。専門は、中東政治、イラク政治。第21代日本国際政治学会理事長を務めた(2012年 - 2014年)。

人物

日本における数少ないイラク専門家として、イラク戦争以降急速に論壇への露出が増え、社民党の広報誌『社会民主』などで執筆活動もしている。テレビなどへのメディア出演も少なくない。東京大学教養学部時代には、ゼミナール用のテクストとして、エドワード・サイードの著書『オリエンタリズム』の共訳を行ったことがある。

略歴

  • 神奈川県小田原市出身
  • 東京都立青山高等学校卒業
  • 1982年3月 東京大学教養学部教養学科国際関係論分科卒業
  • 1982年4月 アジア経済研究所動向分析部研究員(この間ダラム大学中東イスラムセンター修士課程修了)
  • 1986年5月 在イラク日本国大使館専門調査員
  • 1989年4月 アジア経済研究所中東綜合研究プロジェクトチーム研究員
  • 1995年1月 ダーラム大学M.A.(社会科学)
  • 1995年4月 カイロ・アメリカン大学客員研究員
  • 1997年4月 アジア経済研究所研究企画部地域研究部新領域センター
  • 2005年10月 東京外国語大学大学院地域文化研究科(中東イスラーム研究教育プロジェクト)教授
  • 2009年4月 東京外国語大学総合国際学研究院(先端研究部門)教授(大学院重点化による所属変更)
  • 2012年10月 千葉大学法政経学部教授
    • 2015年4月 - 2017年3月 千葉大学法政経学部長
    • 2017年4月 千葉大学グローバル関係融合研究センター長
  • 2019年3月 論文「現代イラク政治における宗教・宗派的要因の解明と国内・域内・国際関係との連関」にて京都大学より博士(地域研究)の学位を取得。
  • 2020年~2021年に刊行されたシリーズ「グローバル関係学」(岩波書店)全7巻の編集代表を務める。

受賞歴

  • 第15回アジア太平洋賞(アジア調査会)大賞(著書『イラクとアメリカ』で受賞、2003年11月)
  • 大同生命地域研究奨励賞(「イラク地域研究および中東現代政治研究の新たな展開」に対して。2009年7月)
  • 2022年、第12回地域研究コンソーシアム賞・研究企画賞(シリーズ「グローバル関係学」全7巻の編集代表)

社会的活動

  • 日本国際政治学会理事長(2012年 - 2014年)
  • 日本国際政治学会副理事長(2010年 - 2012年)
  • 日本学術会議第一部会会員(第20期)
  • 朝日新聞書評委員
  • 東京財団仮想制度研究所(VCASI)フェロー。

著書

単著

  • 『イラクとアメリカ』(岩波書店〈岩波新書〉、2002年)ISBN 978-4-00-430796-9
  • 『フセイン・イラク政権の支配構造』(岩波書店、2003年)ISBN 978-4-00-024617-0
  • 『イラク:戦争と占領』(岩波新書、2004年)ISBN 978-4-00-430871-3
  • 『イラクはどこへ行くのか』(岩波書店〈岩波ブックレット〉、2005年)ISBN 978-4-00-009343-9
  • 『イラクは食べる:革命と日常の風景』(岩波新書、2008年)ISBN 978-4-00-431125-6
  • 『<中東>の考え方』講談社現代新書、2010年)ISBN 978-4-06-288053-4
  • 『中東から世界が見える:イラク戦争から「アラブの春」へ』岩波ジュニア新書、2014年。ISBN 978-4-00-500767-7
  • 『移ろう中東、変わる日本:2012-2015』みすず書房、2016年。ISBN 978-4-622-07958-3
  • 『9.11後の現代史』講談社現代新書、2018年。ISBN 978-4-06-288459-4
  • 『「春」はどこにいった:世界の「矛盾」を見渡す場所から:2017-2022』みすず書房、2022年。ISBN 978-4-622-09530-9

共著

  • From Storm to Thunder: Unfinished Showdown between Iraq and U.S., with Faleh A. Jabbar and Ahmad Shikara, (Institute of Developing Economies, 1998).
  • (西谷修・臼杵陽・NHKイスラム・プロジェクト)『アメリカはなぜ狙われたのか:徹底討論・同時多発テロ事件の底流を探る』(岩波ブックレット、2002年)ISBN 978-4-00-009263-0
  • (姜尚中)『イラクから北朝鮮へ:「妄想」の戦争』(日本弁護士連合会編)太田出版、2003年。ISBN 978-4-87233-762-4

編著

  • 『国家・部族・アイデンティティー:アラブ社会の国民形成』(アジア経済研究所、1993年)ISBN 978-4-258-04427-6
  • 『イラク・フセイン体制の現状:経済制裁部分解除開始から一年』(アジア経済研究所、1998年)ISBN 4-258-26008-8
  • 『中東諸国の社会問題』(アジア経済研究所、1998年)ISBN 978-4-258-04486-3
  • 『民族主義とイスラーム:宗教とナショナリズムの相克と調和』(アジア経済研究所、2001年)ISBN 978-4-258-04514-3
  • 『「テロ」と「戦争」のもたらしたもの:中東からアフガニスタン、東南アジアへ』(アジア経済研究所、2002年)ISBN 4-258-26024-X
  • Social Protests and Nation-building in the Middle East and Central Asia, (Institute of Developing Economies, 2003).
  • 『イラクで私は泣いて笑う:NGOとして、ひとりの人間として』(めこん〈JVCブックレット〉、2009年)ISBN 978-4-8396-0224-6
  • 『〈アラブ大変動〉を読む:民衆革命のゆくえ』(東京外国語大学出版会、2011年)ISBN 978-4-904575-17-8
  • 『中東政治学』(有斐閣、2012年)ISBN 978-4-641-04997-0
  • 『途上国における軍・政治権力・市民社会:21世紀の「新しい」政軍関係』編著(晃洋書房〈シリーズ転換期の国際政治・1〉、2016年)ISBN 978-4-7710-2694-0
  • 『現代中東の宗派問題:政治対立の「宗派化」と「新冷戦」』編著(晃洋書房〈シリーズ転換期の国際政治・10〉、2019年)ISBN 978-4-7710-3193-7
  • 『グローバル関係学とは何か』(岩波書店〈グローバル関係学・1〉、2020年)ISBN 978-4-00-027054-0

共編著

  • (臼杵陽)『イスラーム地域の国家とナショナリズム』(東京大学出版会〈イスラーム地域研究叢書・5〉、2005年)ISBN 978-4-13-034185-1
  • (青山弘之)『中東・中央アジア諸国における権力構造:したたかな国家・翻弄される社会』(岩波書店、2005年)ISBN 978-4-00-009970-7
  • (国分良成・遠藤貢)『日本の国際政治学(3)地域から見た国際政治』(有斐閣、2009年)ISBN 978-4-641-01028-4
  • (吉岡明子・山尾大)『現代イラクを知るための60章』(明石書店〈エリア・スタディーズ〉、2013年)ISBN 978-4-7503-3777-7
  • (五十嵐誠一)『ローカルと世界を結ぶ』(岩波書店〈グローバル関係学・7〉、2020年)ISBN 978-4-00-027060-1

その他

  • ウィルフレッド・セシジャー『湿原のアラブ人』(白須英子訳・酒井啓子解説)白水社、2009年。ISBN 978-4-560-08027-6
  • 小熊英二『真剣に話しましょう:小熊英二対談集』(東浩紀・上野千鶴子・酒井啓子ほか)新曜社、2014年。ISBN 978-4-7885-1399-0
  • 寄稿・今こそイラク戦争の反省と総括が必要、ふぇみん婦人民主クラブ、2023年3351号

脚注

外部リンク

  • 酒井啓子 - 千葉大学大学院社会科学研究院・法政経学部
  • 酒井啓子 - researchmap
  • 中東徒然日記 - ニューズウィーク日本版
  • 酒井啓子 - 東京財団仮想制度研究所

2/26 酒井啓子さん(千葉大学 中東政治学 学者の会)『中東の紛争に日本が何をできるか』市民連合シンポジウム 『野党共闘で戦争法廃止へ!2.

酒井啓子の出演時間

2016年11月18日 読書会「人は本を読んで旅に出る」 第10回 / EVENTS / HILLSIDE TERRACE

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