黒い伝説(くろいでんせつ、スペイン語: La Leyenda Negra、英語: Black Legend)は、スペイン帝国の評判を貶めることを意図して、同国を悪の存在として描いた客観性を欠いた歴史的資料またはプロパガンダである。
概要
黒い伝説は元々、16世紀のヨーロッパ植民地主義の激しい対立の最中に作成されたものである。最初にこれを伝説であると解説・批判したのは、1914年に公開されたJulián Juderíasの著書The Black Legend and the Historical Truth(西: La Leyenda Negra y la Verdad Histórica)であり、同著では何故史学史においてスペインの歴史にこのような深いネガティブなバイアスがかかってしまったのか、何故正の側面が無視されてきたのかを説明した。こうした反スペインの間違った歴史を指す言葉として、Juderíasは新たに「黒い伝説」という造語を作成した。後に他の研究者も彼の考えを支持し、歴史家のCharles Gibsonは1958年、スペイン及びスペイン帝国は、歴史において事実を超えて、残虐で偏屈で搾取的でかつ独善な存在として扱われていると語っている。
定義
Juderíasは自著において、「黒い伝説」を以下のように定義している。
Philip Wayne Powellもまた、彼の著書Tree of Hateにおいて「黒い伝説」をこう定義している。
Fernández Álvarezはまた、「黒い伝説」をより幅広く定義している。
白い伝説
白い伝説は、黒い伝説の対義語として歴史家により用いられる語句で、黒い伝説に対抗するあまり、スペインの植民地化に対して無批判や理想化をしてしまうことを指す。 この語句は特にフランコ政権期のスペインにおいてナショナリズムに基づいた歴史観を説明する際に用いられる。 Benjamin Keenらは、例えばJohn FiskeやLewis Hankeをスペインの歴史を過度に理想化しすぎていると批判している。
脚注
関連項目
- スペインによるアメリカ大陸の植民地化
- バリャドリッド論争
- 反カトリック主義
- 歴史修正主義
- 情報戦
外部リンク
- 世界大百科事典 第2版『黒い伝説』 - コトバンク




